個人事業主の請求書の書き方とインボイス対応の必須項目

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※ Microsoft365(旧Office365)Excelの画像を使って解説しています。

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個人や個人事業主が発行する請求書を書くには、まず、項目の選定から始めましょう。請求書に記載する必要がある項目の他に、個人事業主が留意するポイントとなるのは源泉徴収を設けるかどうかという点です。請求書に書く項目が決まればフォーマットは自ずと決まり、レイアウトのイメージもはっきりしてくるでしょう。

また、2023年10月からインボイス制度がスタートしましたが、個人事業主もその適用を受けます。本記事ではインボイス制度に対応する請求書の必須項目についても記載しています。

請求書に必要な項目

インボイス導入前の国税庁のホームページでは以下の5項目の記載を推奨しています。これは法人が発行する請求書であっても、個人・個人事業主が発行する請求書であっても同じです。

  • 請求書作成者の氏名又は名称 =請求書の発行者名
  • 取引年月日 =取引が発生した日付
  • 取引内容 =商品やサービスの内訳
  • 取引金額 =請求する金額
  • 請求書の交付を受ける事業者の氏名又は名称 =請求書の宛先名

以上の項目に、以下に記載の「インボイス制度に対応する請求書の必須項目」を追加します。

インボイス(適格請求書)制度に対応した必須項目

  • 登録番号
  • 軽減税率の対象である旨の記載
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜・税込の表記)及び、適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額

インボイス(適格請求書)を発行するためにはインボイス発行事業者の登録を受ける必要があります。インボイス発行事業者の登録を受けると、売上高1000万円以下の免税事業者であっても消費税の納税が義務付けられます。しかし、この制度では課税事業者にとって免税事業者との取引が増えると税負担が重くなる仕組みになっています。それを理由に取引を打ち切られるケースも考えられるので、免税事業者がインボイス発行事業者の登録申請をせざるを得ない状況になるかもしれません。

現時点では適格請求書を発行する必要のない個人事業主でも、インボイスに記載する必須項目に対応した請求書の書き方に慣れておくことをおすすめします。

請求書の書き方

請求書には書類の形式、体裁に制約はありません。自由なフォーマットで請求書を発行できます。

請求書の項目ごとに書き方を説明します。

請求書の宛先(取引先)名

  • 取引先が法人であれば略さずに正式名称を書き、敬称は「御中」にします。部署名を書く場合も同じです。「例:〇〇株式会社 企画部 御中」
  • 取引先が個人事業主で、屋号を宛先にする場合も敬称は「御中」にします。
  • 取引先が個人、または企業の中の個人名や個人事業主の個人名で発行する場合の敬称は一律に「様」です。「例:〇〇株式会社 企画部 デザイン課課長 〇〇 〇〇様」

請求書の発行者の情報

請求書を発行する側の氏名または名称、住所、電話番号、メールアドレス等を記載します。個人事業主であれば、屋号と個人名を併記するか、屋号のみ、個人名のみを記載します。

登録番号

インボイス発行事業者として登録された番号を記載します。インボイス(適格請求書)の必須項目です。インボイス発行事業者の申請をしていなければ(免税事業者のままなら)不要です。

請求書の取引年月日と取引内容

「取引年月日」と「取引内容」はインボイスの必須項目です。取引の内訳を表形式で分かりやすく記載します。

以下は取引内容の書き方の1例です。

取引年月日 : ****年*月**日
日付 商品名 単価 数量 金額
月/日 商品A ****円 **個 *****円
月/日 商品B ****円 **個 *****円

請求書の消費税

個人事業主で「消費税なし」の免税事業者なら項目を設ける必要はありませんが、「消費税あり」の課税事業者(またはインボイス発行事業者の登録をした場合)は取引内容の内訳表に「合計(税抜)」「消費税率」「消費税額」を分けてそれぞれ単独の項目にしておきます。消費税の金額は小数点以下切り捨てが多いと思いますが、四捨五入でも切り上げでも事業者側で自由に決められます。

インボイス請求書では、消費税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率、税率ごとに区分した消費税額等の記載は必須です。また、軽減税率の対象である場合はその旨を必ず記載します。

請求書番号または伝票No.

必須とまでは言えませんが、請求書に何らかの識別番号を付けておくと、後々の管理がしやすいと思います。

支払期限

請求書の発行日を作成した当日にすべきかはクライアント側の意向にもよると思います。同じく、支払期限もクライアントのサイクルに合わせる必要が出てくるかもしれません。ですが、多くの場合は請求書を発行する側が支払期限をはっきり示し、相手先がそれに従って支払いを履行します。上述した基本項目と並んで、支払期限も請求書に書くべき必須項目だと言えます。

支払期限は、単発の案件が多くて都度方式を採っているなら「請求書の発行日より1ヶ月後」などとするか、締日を決めて掛売方式を採るなら「末締め、翌月末支払い」などとします。

振込に必要な情報と振込手数料の扱いについて

支払い方法を銀行振込にする場合、振込先の口座情報を記載する必要があります。目立つ場所にはっきり表示しておきましょう。また、振込手数料を相手側に負担してもらう場合は、その旨を明記しておきます。

口座名義は漢字とカタカナの両方書いておけば親切ですが、通常ATMやネットバンキングで振り込む際には口座番号を入力すると振込先の口座名義が自動表示されると思うので、確認用にカタカナ名義を記載するだけでもいいでしょう。

源泉徴収

個人や個人事業主が請求書の発行で確認しておくべきポイントとして、自分の取引内容が源泉徴収の対象となるものなのか、どうかということがあります。源泉徴収税についての詳細は本記事では触れませんが、執筆やデザインに関わる仕事で対価を得ているなら、源泉徴収の対象になります。その場合は「合計(税抜)」の下辺りに源泉徴収の項目を設けておきましょう。

ロゴと印鑑(角印)

ロゴマークを置きたい時は請求書発行元の名前(社名・氏名・屋号)の横に配置する空間を空けておきます。角印を押す位置も確保しておきましょう。

印鑑や角印は無くても構いませんが、あると文書に信頼感が加味されます。朱肉で押印するのは手間なので、画像を用意して貼り付けておいてもOK。デザインの一部と考えればいいと思います。旧字体フォントなどを工夫して自作できます。

請求書に必要な項目のまとめ

☆が付いているのはインボイス請求書の必須項目です。

  • ☆請求書を発行する事業者の氏名または名称 =屋号・個人名
  • ☆登録番号 =インボイス発行事業者の登録を申請した個人事業者のみ
  • ☆請求書の交付を受ける事業者の氏名又は名称 =請求書の宛先(取引先)名
  • 請求書の発行年月日 =請求書が発行された日付
  • ☆取引年月日 =取引が発生した日付
  • 支払期限 =発行日より1ヶ月後や翌月末支払いなど
  • 振込に必要な情報 =銀行名・支店名・口座番号・口座名義(カタカナだけでもOK)
  • ☆取引内容の内訳表 =商品名やサービス名・数量・単価・小計
  • ☆消費税率・消費税額 =軽減税率の対象である場合はその旨を記載
  • ☆取引金額 =インボイス請求書では税抜・税込の表記は必須
  • 源泉徴収 =取引内容により、不要な場合もある
  • 請求書No. =発行後の管理のため
  • ロゴ・角印 =信頼度とデザインのため
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