ピボットテーブルの応用|集計アイテムを追加するテクニック

ピボットテーブルの応用|集計アイテムを追加するテクニック

ピボットテーブルに「集計アイテム」を追加することで、ちょっと高度な使い方ができるようになります。
「集計アイテム」を使うと、あるフィールドに項目単位で集計したオリジナルなアイテムを追加できます。「集計フィールド」はピボットテーブルの列側だけに展開する機能ですが、それに対して「集計アイテム」は「行」「列」双方向で使える機能です。「集計アイテム」を使うと、項目名も数式に組み込むことができ、より高度な集計が可能になります。項目同士で計算したり、特定の項目だけをピックアップして集計の対象にすることができるのです。本記事では、同種の項目の総計に対し、個別の項目ごとの構成比を表示させる例題で、集計アイテムを使ったピボットテーブルの応用テクニックを解説していきます。

フィールドに集計アイテムを追加する

下図の集計表の中で、「WEB制作」に係る項目の総計に対し、「スタンダード」「プレミアム」「格安」の各プランごとの構成比を表示させたいと思います。
集計アイテムを追加するピボットテーブル

まず、集計アイテムを追加したいフィールド、及びその項目の一つを選択します。
集計アイテムの追加前に選択するセルの範囲

この最初の手順は重要です。集計値のセルを選択した状態では機能自体を呼び出せません。
「商品」というフィールドに集計アイテムを追加したいと思うなら、上図の赤枠で囲った範囲内のセルを選択しておく必要があります。

上述したセルを選択した状態で、「ピボットテーブル ツール」ー「分析」の「計算方法」グループにある「フィールド/アイテム/セット▼」をクリックして「集計アイテム」をクリックします。
フィールド/アイテム/セットの「集計アイテム」をクリック

「”商品”への集計アイテムの挿入」と題したダイアログボックスが開き、左側の「フィールド」では「商品」が選択され、その配下のアイテムが右側のボックスに一覧表示されています。
”商品”への集計アイテムの挿入ダイアログにフィールドとアイテムのリストが表示

ここでの作業は「名前」を入力することと「数式」を組み立てることです。

「総計」の集計アイテム

  1. 最初に比率の基になる「WEB制作」の総計を集計アイテムとして追加します。ピボットテーブルに表示される項目の「名前」を入力します。この例では「WEB制作|総計」としておきました。
    集計アイテムの挿入ダイアログで「名前」を入力
  2. 次に、「数式」の小窓に入っている「0」を消去、「=」の後にカーソルを置いた状態で「WEB制作・スタンダード」をダブルクリックするか、選択して「アイテムの挿入」ボタンをクリック。アイテム名が数式に表示されたら、「+」を入力します。
    ”商品”への集計アイテムの挿入ダイアログで名前を変更し、数式にアイテムを入力
  3. その後に続けて「WEB制作・プレミアム」をダブルクリック、「+」を入力、「WEB制作・格安」をダブルクリック。
    WEB制作・スタンダード+WEB制作・プレミアム+WEB制作・格安」という式が入りました。※「= SUM(WEB制作・スタンダード,WEB制作・プレミアム,WEB制作・格安)」としてもOK
  4. これで「WEB制作」の3つのプランを加算する数式が成立したので、「追加」ボタンをクリックします。
    ”商品”への集計アイテムの挿入ダイアログで数式を入力し終えたら「追加」をクリック
    「追加」をクリックすると「アイテム」のリストが空になりますが、「フィールド」の「商品」を再度選択すると表示されます。※表示されない時は、他のフィールド名を何度かクリックしてみて下さい。
  5. 「アイテム」のリストを一番下までスクロールすると、「WEB制作|総計」が追加されたことが確認できます。
    アイテムに追加した集計アイテムの名前が追加された

「構成比」の集計アイテム

ダイアログは閉じずに、このまま次の作業へ移ります。

  1. 「名前」と「数式」には先程の入力値がまだ残っているので、これを「=」を除いて削除し、「WEB制作|総計」に対する「スタンダード」の構成比を表示させる集計アイテムを新たに設定します。
    新しい集計アイテムを設定するため、前の入力値を消去
  2. 「名前」を「スタンダード|構成比」とし、「数式」の「=」の後にカーソルを置いて、「アイテム」の「WEB制作・スタンダード」をダブルクリックして入力、続けて「/」、更に続けて新規追加した「WEB制作|総計」をダブルクリックします。「数式」に「=WEB制作・スタンダード/’WEB制作|総計’」と入りました。
    「数式」に「=WEB制作・スタンダード/'WEB制作|総計'」と入力
  3. ここで、ひとまず「OK」してみましょう。設定した2つの集計アイテムが行ラベルの末尾に表示されました。
    列項目に追加した集計アイテムが表示された
  4. 構成比の値の表示形式を「%」に変えましょう。数値上で右クリック→メニューの「値フィールドの設定」ではなく、「セルの書式設定」→「表示形式」で「パーセンテージ」を選びます。「値フィールドの設定」で表示形式を変更すると、金額の列の値が全て「%」になってしまうので要注意。
    セルの書式設定の表示形式でパーセンテージを指定
  5. 最終行の「総計」は邪魔なだけなので非表示にしておきましょう。「ピボットテーブル ツール」ー「デザイン」の「レイアウト」グループにある「総計▼」のプルダウンメニューから「行と列の集計を行わない」をクリックします。
    「ピボットテーブル ツール」ー「デザイン」の「総計」で「行と列の集計を行わない」をクリック
  6. 「プレミアム」と「格安」も同様の操作で集計アイテムを追加します。分かりやすくするため、追加した4行の集計アイテムに塗り潰しと罫線を適用しました。
    集計アイテムを追加したピボットテーブル
  7. 他の項目も同種の「キャラクター」と「ロゴ」に分けて、「WEB制作」と同じ手順で集計アイテムを追加しました。
    他の商品でも集計アイテムを追加
  8. このままでもいいかもしれませんが、せっかくなので同種ごとにグループ化して表の体裁をもう一段整えてみましょう。「WEB制作」関連を、追加した集計アイテム(総計・構成比)も含めて選択し、「ピボットテーブル ツール」ー「分析」にある「グループの選択」をクリックします。
    同種のアイテムを選択し、「グループの選択」をクリック
  9. 「キャラクター」、「ロゴ」関連も同様にグループ化。
    残りの2分類もグループ化
  10. グループ1~3の名前を修正して、WEB制作の書式を他の2グループにコピペ、罫線の追加などを適宜行って完了です。
    集計アイテムを追加後にグループ化したピボットテーブル

クロス集計表に集計アイテムを追加する

列と行の2軸に配置したフィールドそれぞれに集計アイテムを追加して、一つのピボットテーブルで2方向からの分析を可能にする提案例です。企画書などで少し小洒落たコンパクトな見せ方をしたい時に参考にして下さい。

  1. ピボットテーブルのフィールド」作業ウィンドウで、列エリアに「担当」フィールドを配置します。
    列エリアに「担当」フィールドを配置
  2. 「担当」フィールドか項目の一つを選択して、「ピボットテーブル ツール」ー「分析」の「計算方法」グループにある「フィールド/アイテム/セット▼」を押して「集計アイテム」をクリックします。
    フィールド/アイテム/セットの「集計アイテム」をクリック
  3. 「”担当”への集計アイテムの挿入」ダイアログボックスが開いたら、担当者全員の売上総計の「名前」と「数式」を入力します。この手順は「商品」に追加した集計アイテムと同じです。「名前:担当の総計、数式:=担当者A +担当者B +担当者C」。入力が完了したら、「追加」ボタンをクリック。
    担当の総計を表示する集計アイテムを構築
  4. そのままダイアログボックスを閉じずに、続けて「構成比」の名前と数式を入力。「名前:A構成比、数式:=担当者A/担当の総計
    「担当者A」の構成比を表示させる集計アイテムを構築
  5. 「追加」を押したら、続けて「B構成比」入力→「追加」、「C構成比」→入力、「OK」。これで列ラベルの集計アイテムも全て表示できました。
    ピボットテーブルの行と列に集計アイテムを追加
  6. この時点では何が何だかわからない集計表になってます。意味のない集計値も目につきますね。この見栄えを最小限の書式で整えていきましょう。「総計」の範囲を色分けして目立たせるとともに、項目別の売上金額と構成比を隔てる仕切り線の役割を持たせます。罫線も適用してみましたが、この辺りは好みの範疇で。
    総計のセル範囲を背景色で塗り潰し、罫線を適用
  7. 構成比同士を足し算させてるような邪魔な集計値を隠します。不要な集計セルは表の右下の一角に並んでいます。
    不要な集計値の範囲
    これらを全て選択(Controlキーを押しながらドラッグ)して、右クリック。カラーパレットで文字色を白(背景色と同色)にします。
    不要な集計値を選択して文字色を背景色と同じにする
  8. これで完成です。
    集計アイテムを追加したクロス集計表が完成

クロス集計表に集計アイテムを追加する場合の一例としてご参照下さい。

集計アイテムの追加でピボットテーブルの応用範囲を広げましょう

集計アイテムを活用すると、ピボットテーブルの応用範囲が広がります。仕事で分かりやすい集計表を作成するのに役立つテクニックです。少し高度な使い方になりますが、慣れればスムーズに作業できるでしょう。
本記事では担当者別の集計を例にしましたが、集計アイテム機能で商品別、月別、支店別など主に行方向に展開する集計の追加が簡単にできることが解っていただけたと思います。背景色や罫線で見やすい集計表にするテクニックも併せて参考にしていただけると幸いです。

タイトルとURLをコピーしました